2010年6月28日月曜日

リートフェルト

ヘリット・トーマス・リートフェルト
どこかの服のブランドではありません。

故人ですがオランダの建築家の名前です。元は家具職人です。
”赤と青の椅子”という有名な椅子をデザインした人でも知られます。

僕が建築設計の道を目指したきっかけのひとつはこの人の作品を見た衝撃からです。

学生の時に建築の勉強をしていた時には実際建築にはあまり興味がありませんでした。
建築の分野に進んだのも中学の先生が「三山くんは細かく絵をかくの好きだから建築家向きよね〜」なんて一言で将来は建築の勉強をしてみようかなと決めた程度でした。

いざ大学に進むとコルビジェや安藤忠雄すら知らなかった僕は、周りに建築オタクの子たちが建築談義をしているのを聞いて引きまくった記憶があります。

その学生時代の最後の方に、あることがきっかけでこの人のシュレーダー邸というものを目にすることになります。

なんだこれは!

あまりのカッコよさに衝撃をうけてしましました。
原色の赤、黄、青を使いながらのデザイン。

赤、黄、青の色を見事に使いこなすのは、僕はリートフェルトとガンダムしか知りません。
しかも都市景観との調和が取れている。

建物のデザインもさることながらこのシュレーダー邸はびっくり建物でも有名でした。
家の中にものを運ぶリフトがあったり、からくり扉があったり。家具職人ならではのアイデアも満載です。



しかもそのシュレーダー邸が出来たのは1924年。
本当に凄いデザインは陳腐化しない。これは凄い。

直線を見事に使いこなすというのは結構難しく、その使いこなしと様々なアイデアにしばらく作品に見入ってしまいました。

実はこのシュレーダー邸は建築を勉強している人なら授業で習う建物でした。
いや真面目に勉強しておけばよかった。授業で習った記憶なし。

久々にこのブログを書くためにネットで調べてみたらいつの間にか世界遺産に登録されていました。勉強不足でした。住宅が世界遺産なんてへんな感じですが。

見学出来るみたいなので、オランダに行かれる方はぜひ見にいってください。

2010年6月24日木曜日

世田谷の住宅 地下の様子

地下室と一階のコンクリート床を支えていた仮設の柱がコンクリート打ちから4週間たって取れました。


やはり地下、かなり涼しいです。
プライベートスタジオになる場所です。

消音のために限られてたコストで出来る対策を設計上で考えています。
スタジオから出る音に対する遮音、外部からスタジオに入る音の遮音等の空気伝播音、建物本体に伝わる個体伝播音などに対応します。

空気伝播音の対策としては換気系統に対する対策をします。
対策のひとつにマフラーを使用しています。車についているサイレンサーと同じ構造です。


また音をダクト(空気の通り道)に当てて遮音していく事もひとつの対策。
ダクトをこれでもか!という位、うねうねさせて遮音ボックスを付けて遮音させることができれば一番いいのですがなにせコストがものすごい上がってしまいます。
ローコストがひとつのテーマになっているこの住宅では結構厳しい。
後でも出来る遮音対策を提案して、現場でなるべくダクトを蛇行して取り付けるようにしてもらいます。


地下の階段の部分には狙い通りトップライトと2階の窓から吹き抜けを通じ、光が入っています。

いい感じです。

実際には壁が立ちますが、昼か夜か分からないと辛いので防音の窓を2箇所設けており、音楽作りにスタジオにこもる施主の精神的負担の軽減を考えています。


世田谷の住宅 壁

世田谷の住宅の続き。

建方が終わり、壁を張っていきます。ちなみに”貼る”ではなく”張る”といいます。
この壁は構造的に重要な意味を持っています。

大昔の家は大黒柱のある家といって家の中心に大きな柱をでん!と据えて建てる家が多かったし、大黒柱という単語はみなさん知る通り。
しかし現代の一般的住宅の在来工法には大黒柱は存在しません。理由は大きな木を安価で入手することが難しくなったことと、地震に抵抗する基準が上がってきたという理由でしょうか。

地震や台風に対しては壁とか筋交いと呼ばれる斜めの材、そして前回のレポートに記載した金物と呼ばれる木材と木材を接合するものによって抵抗をしています。




よく柱が太くて安心とか細くて不安とか言う事を聞きますが、構造的にはほとんど関係ありません。この壁と筋交いが重要になるのです。

柱の太さと細さであえて関係があるといえば、シロアリ被害に対して太い方がシロアリが食べきれないんじゃないかという点だけです。
しかし、そもそもシロアリが木材に到達できないように地面から木材の土台高さを高くすることで基本的に設計上配慮します。

この重要な壁、構造用合板と呼ばれるものを窓以外の部分で使用します。
工事監理上では構造用合板の種類の確認ときちんと柱と梁に取り付けてあるか、釘の間隔を確認していきます。せっかくの抵抗する壁も釘の間隔が不適切であれば、当然有効に働きません。経験上では結構この釘打ち間隔の不適が多いのです。

2010年6月21日月曜日

HPの更新

ホームページをちょっぴり更新しました。

「仕事の進め方と料金」
「Q&A」

の2項目です。まだまだ内容薄ですが、徐々に更新します。

仕事の進め方では通常の設計事務所のホームページでは設計過程しか書いていませんが、土地取得から発生する金銭時期についても大まかにご紹介しています。設計デザインだけではなく建築行為を全体的にとらえて、アドバイスができるのも、みやま建築設計事務所の特徴です。

同じ家や建物を建てるにも数百万円得して建てる人がいます。非常にグレーゾーンが多い業界でもあります。どうせだったらいろいろな知識を得て建てて下さい!

消費税が上がるかも?と議論真っ最中になりそうな気配ですが、ちなみに土地には消費税かかりません。知ってました?

建築費には消費税かかるので、もし10%まで上がったら2000万円の建築費用で100万円も上がってしまう。消費税が上がってもサラリーマンの給料は上がらないんだろうな。
これでは国の住宅建築促進方針も思いやられます。

7月中には作品の方を公開予定です。
昨年立ち上げたばかりの事務所なのでプロジェクトばかりですが、公開の際にはぜひ御覧下さい。

2010年6月17日木曜日

ホタルの光

みなさんホタルってみたことありますか?
いまちょうどホタルが飛ぶ季節です。
一度は少数ながらもみたことがあると思いますが、乱舞を見た人ってあんまりいないと思います。

僕の故郷の滋賀県米原市はゲンジボタルとその発生地が国の特別天然記念物に指定されています。発生地で有名な川の名称が「天野川」。いかにもホタルが多そうな名称でしょう?

僕が小さい頃はホタルが乱舞って感じじゃなかったのですが、近年ホタルを保護する活動が実って乱舞するようになっています。

数年前に帰郷した時に見たとにはそりゃ感動しました!
カメラで撮ることの難しいホタル乱舞は見たことの無い風景で、360度数百匹のホタルは現地でしかその感動は味わえません。人工の光とは違う感動がそこにあります!

現在は有名になって大阪からも足を運んで見に来る人がいたり、近郊のホテルは今の時期に予約が取れないほど人気になっているそうです。

反面カメラや携帯に収めようと液晶パネルの余計な光が邪魔になってるんですけど。
素人じゃ撮れないって・・・

今年は見に行くことが出来なかったけどまたいつか見に行きたいな。

お近くにホタルが見れる場所がある方はぜひ足を運びましょう!
場所にもよるけど今週末くらいまでがピークみたいです。

ちなみに東京近郊のホタル情報はこちら
http://season.enjoytokyo.jp/hotaru/

2010年6月14日月曜日

お帰りなさい。

昨日の晩に地球に帰ってきた 小惑星探査機 はやぶさ。

大々的にニュースになっている通り、新しい技術をテストしながら、惑星イトカワの地表試料を持ち帰ることが大きなミッションです。普通ではミッション断念となる幾つものトラブルや困難にあいながら3年遅れの7年の月日をかけて約60億キロの奇跡の旅。満身創痍になりながら地球に帰還を果たし、採取された可能性のある惑星サンプルの入ったカプセルを地球に放出、はやぶさは役目を終え大気圏で燃え尽きる。

悲しい結末ながらも美しい最後で感情移入してグッときてしまいます。

そして最後のラストショット

最後に地球を見せてあげたいという宇宙機構の方々が予定外の撮影として、2時間かけて姿勢を制御し省エネのために切っていたカメラを再起動して撮影をしたそうです。

写真の構図や宇宙に浮かび上がる地球が美しすぎます。地球の下の白い部分は途中で通信が途絶えて解析出来なかった部分とか。もはや、はやぶさが人のように感情を持っているように思えて泣けてきます。

はやぶさの奇跡を支えたのは技術陣。様々なトラブルに対応する想定をしてはやぶさを設計し、最後まで諦めない努力には頭が下がります。

分野は違えど僕も一端の技術屋。
設計事務所といえば建築デザイナーでデザインだけをするとの印象を持たれますが、建築士は根本的に生命と財産を守るための建築技術屋です。限られたコストの中で地震・風雨・日照・地盤・騒音・火災などの様ざまな事に設計技術で立ち向かっているのです。

同じ技術屋として新しい技術に対する挑戦、様々なことを想定した設計、最後まで諦めない姿勢を見習いたいです。

放出したカプセルに何か入っていればいいなぁ。
映画?も見たくなってきた。
HAYABUSA -BACK TO THE EARTH

2010年6月10日木曜日

世田谷の住宅 建方2

建方の続き。
建方の途中は構造的に不安定な状態です。仮設の筋交い(斜め材)を入れて建方途中の地震等に注意します。建方は日曜日を挟んで完了したのですが、実際に震度3の地震がおきました。

監理項目として金物の検査を行います。


現在の建築基準法では木造の場合、地震や台風等の力がかかった時に柱が土台や梁から抜けるのを防ぐためにをホールダウン金物(引き寄せ金物とも言う)をつけることがほぼ必須となっています。金物に頼らない家というのは魅力的なのですが、現代では構造的・法的・コストなどから金物を使って建てることが一般的になっています。

金物が設計図通りの位置に決まった耐力のものがつけられているかを確認していきます。


屋根は構造用合板24ミリを使用して固め、地震や台風時に受ける力を柱に伝えます。
合板の釘打ち間隔が大事なので間隔も確認をしていきます。


この住宅は4面が住宅に囲まれる東京らしい敷地。リビングは空を捕まえ採光を得るため2階に。1階へはトップライトで階段吹き抜けを介して採光を落とす計画としています。第一種高度地区なので高さは十分に取れないので、天井高をとるために無理やり1階リビング・傾斜屋根の寝室となりがちですが、明るいリビングの精神的な気持ちよさを選択し、リビングに家族が集まるように設計上で誘導しています。階段吹き抜けを使って空間を曖昧につなげながら光を変化させていくことで魅力のある積層を構成し、地下−1階−2階と徐々に空間の明るさからくる広さの感覚をコントロールするのです。


階段がなかなか素敵です。
ちなみに地下は下の写真の状態。コンクリート打ちから4週間後にこのサポート柱を撤去します。




棟上が終わり職人さん一休みです。



2010年6月9日水曜日

世田谷の住宅 建方1

世田谷の住宅、いよいよ建方です。

旗竿地ということもあって建方には重機が使えない想定がありましたが、お隣さんのご好意で敷地を使わせて頂くことができ、重機を使っての建方です。


建方1ヶ月前程から、プレカット工場から提出される図面をチェックしています。設計図通りの意図となっているか、この度は何かと構造が複雑なので5回の図面チェックバックを繰り返しています。


柱は杉、梁は米松、構造上重要な梁は品質にバラつきが無いように集成材、土台はヒノキとコストを抑えるとしてもそれなりにいい木を使用しています。
コストを抑えるために木のカットを工場で行い、現場では組立を行うプレカット方式です

土台はヒノキの上にさらに防腐処理をしています。


ブツブツに見えるのは防腐剤を注入した跡です。土台下に見える黒いパッキンは通気パッキンと言って通気するための穴があいています。土台下から入る空気が1階床下の床下換気の役目を果たし、土台が腐るのを防ぎます。

この住宅は2階の床をネダレス工法にしています。


現在増えつつあるネダレス工法。ネダレス工法とは梁の上に直接合板を張り付けて強度を確保し、地震時の力を柱に伝えます。
通常は根太を梁の上に303ミリ間隔で設置してからフローリングの下地、フローリングと施工するのですが、この根太を省略するのです。ネダレス=根太レス。

ネダレス工法の利点はコストが安い事と根太分の高さを省略できることです。

第一種高度斜線制限のあるこの土地は建てられる高さの制限が最も厳しいので数センチでも内部空間を確保したいためのネダレス工法採用です。

階段は鉄骨。しかも90度の周り階段なので建方に合わせて階段を設置しました。
後での設置は現場溶接やらで精度を出すのが大変なのです。

2010年6月3日木曜日

幹と枝葉

今日は新宿に用事があったため、途中に新宿中央公園を抜けて目的地まで行きました。

新緑の公園が気持ちいい。都心の公園だけあって様々な人が森林浴を楽しんでいました。


ある言葉を思い出します。
昔に設計は幹と枝葉だと教えられたことがありました。

建物を設計するには住む人や使う人から様々な要望を聞いて設計していきます。人からの要望だけでは無く、周辺環境や環境に全身全霊を傾けて要求されるものを探し出していきます。

求められるものは画一的になることもありますが、その人や環境で重要度が違います。

要望や要求されるものを設計者が幹になるものと枝葉になるものに分けることが重要で難しいのです。

確かに幹がしっかりしていれば木は育つし、美しい新緑や花を見せてくれます。

もう一つ重要なことがあると気づきます。
土壌が良くないと立派な木は育てられないと言う事です。

土壌に当たるもの。それは自分の知識や経験、つまりは自分自身の能力です。
経験は運的なものもありますけど、日々の勉強を怠ってはいい経験も得られないとはよく言ったものです。

冷静に考えれば当たり前の事ですが、立派な木を育てられるように日々土壌を肥やさなければなりません。



ひねくれてもしっかりとした美しい幹を育てていきたい!

2010年6月2日水曜日

工事現場

工事現場でのすごい動画を知人から教えてもらいました。




確かにすごい!

が・・・僕の現場だったら、おまえらそこに直れです。

もう一つ面白いものを。


確かに面白い!
が・・・僕の現場だったら、おまえら明日から出入禁止です。

財産を扱うこの仕事。おふざけではできません。
アイデアは評価しますけど。

このようなかわいそうな現場もあります。


埋立地が日本にも多くあるけど、このような状態になってご臨終になった重機がたくさん有ると聞きます。

昔の会社の先輩が担当していた埋立地で杭を打ったら途中で入らなくなったことがあって、埋立地なのになんでかなー?と調査したら重機が埋まっていたそうです。
一度沈んでしまったら引き上げて整備し直すより埋めてしまった方がコストが安いとか。

ゼネコンさん。環境に悪いのでなんとか助けてあげて下さい!