2010年5月31日月曜日

展覧会

昨日表参道のGAgallaryに行ってきました。

建築系の展覧会をコンスタントに企画していて、GA系のショップと一緒になっています。
なかなか時間つぶせます。



世界の著名な建築家の住宅設計事情を知るには有益な情報が得られる展覧会です。
実際に建てられた住宅ではなくて設計段階の哲学、その具現化された模型や完成予想図の展示会です。

建築関係者にとってはイチロー級のスーパースターの方の展覧もちらほら。
先日プリツカー賞を受賞した西沢立衛さんの作品(計画)もありました。

日本3割世界7割位の比率で展示。
ここでいつも思うのですがいつもここに展示される日本物件の下足ラインがよめない。というか無いような気がする。なぜなんだろう?

下足ラインとは靴を脱ぐところ。日本の住宅では必須の機能です。
本人が望まなければ確かに要らない機能だけど。僕は嫌です。
おそらく本当の設計時にはあるのだろう・・・

すごいなーと思いながらこの設計はここがダメとか、この設計はここがすごいとか自分なりに感じ取っています。考えて感じることが大切だ。恐れ多くもそんなことを考えています。

建築に対する哲学、建築によってその敷地や都市にどのようなタイムラインを刻むのか、建築することのものの見方や影響力など考えることが楽しい時間でした。

違う切り口で物事がみれる・・・気がして退館です。

帰りの道中でこんな景色に遭遇です。
意味不明に右から左へ読んでしまいました。しかも”ア”が電柱で消えて・・・不謹慎だ。


正解は左の看板を見てください。ものの見方は一歩間違えばこんなことになることを学ぶ。

2010年5月28日金曜日

世田谷の住宅 コンクリート

配筋検査で指摘した是正項目を確認し、さていよいよコンクリート打設です。
現場が最も緊張する一日。やり直しが原則効きませんので慎重に実行します。

数日前にコンクリートの配合計画をコンクリートプラントから提出してもらい、設計図に記載通りの配合で計画しているかをチェックしておきます。
先日の配筋検査やコンクリートの打設については日本建築学会のJASS5、国交省の公共工事監理指針を基準に監理していきます。


現場では受け入れのためにコンクリート配合計画の通りであるかの確認をします。



現場では空気量、塩分、スランプ等のコンクリートの性能に問題が無いかを確認します。
ここで問題があれば打設中止などを指示しますが、無事OK。

コンクリートは4週間程で狙った強度が発現します。
写真左にある丸い筒のようなものにコンクリートを同時に詰め、コンクリート打設後、1週目、4週目に強度圧縮試験を行い狙った発現強度が出ているかを確かめます。これをテストピースといいます。
もし強度が出ていなければ取り壊して再工事・・・なんてならないように設計上ではコンクリートの強度は余裕をもって設定しています。


型枠内は綺麗に清掃して、最下部からゴミなどが取り除ける用に穴をあけています。その穴を塞ぎいよいよコンクリート打設。コンクリートミキサー車5台分を間隔無く打設していきます。



コンクリートは水、セメント、砂、骨材(小石)を練り合わせたものです。コンクリートが途中で分離しないように打設口までの角度を注意して打設。

おこのみ焼きの生地を作るときにも様々なものを入れますが、分離しては美味しくない!そういうことです。ちょっと違うか。。

写真右のおじさんが突っ込んでいるものはバイブレータという振動する機械です。振動でコンクリートを液状化させてコンクリート密度を高めて不要な混入空気を除去、骨材(小石)が均等に分布するようにします。結果、きれいなコンクリートが仕上がるのです。

地下部分はコンクリート打ち放し仕上げ。通常のコンクリートよりさらに綺麗に仕上げなければいけません。
ここで登場するのが・・・


節付きの竹なんです。この竹でツツイていきます。超アナログですがこれが一番の方法であるとは建築業界では周知の事実。現場監督自らツツイていきます。現場監督さんについている若い監督さんも一緒に全周ツツイていきます。
簡単に見える竹ツツキ。下手な人がやると逆に型枠を傷つけて傷がついたりしますので、監督が若い監督に指導しながら竹をツツイていきます。


コンクリートは打設後に十分な期間をもって型枠を外します。工期的に十分な時間が取れない時は、先にコンクリート圧縮試験を行い十分な強度が出ているかを確認して脱型します。
このたびは4週間バッチリとっての脱型となっています。


このコンクリートあなどるなかれ。
一様に同じに見えるコンクリート。実は使う場所によって様々なコンクリートがあります。
超高層等自重が重い建物は当然高強度のコンクリートが使われますし、工期等の理由から早く強度を出したいときは早強コンクリート等、配合により様々に使い分けます。

すでに終わってしまいましたが強度を競うコンクリート甲子園なるものまであるのです!
http://www.jsca.or.jp/vol2/15tec_terms/200506/20050625-2.html

そういや知り合いの現場監督がドーハに転勤になったときに「あんな暑い国速攻でコンクリート固まるのにどうやって打つんだよ。」と言っていました。どうやら朝方、夕方が勝負らしいのですがそれぞれの地域で独自のノウハウがあるんだろうな。

2010年5月25日火曜日

がりょう

建築用語で「がりょう」という言葉があります。

僕はこの言葉でちょっと興奮します。漢字では「臥梁」。

この臥梁とは、日本ではあまり見られなくなった組積造の建物(レンガやコンクリートブロックを積み重ねて作る建物。3匹の子豚が作ってたような建物。)の場合に、積み上げた壁の頂部に設けられる水平の梁の事をいいます。現在よく見るところではブロック組で構成された塀の頂部にコンクリートで固めたものを見る程度です。

建物や塀の基礎 − 組積(レンガ、コンクリートブロック等) − 臥梁

と組積を挟みこむことで組積を固め、地震や台風時に力が流れても抵抗する力を生みます。

ここで現在レポートしている世田谷の家。
地下はすべて鉄筋コンクリート造なのですが地下外壁の上部には、ぐるりとこの臥梁と同じような機能を持った鉄筋配列がされています。

臥梁、がりょう、臥竜・・臥竜!?
同じ読み方ではないか!

臥竜とは三国志に出てくる諸葛亮孔明がたとえられた言葉。
諸葛亮孔明は言わずと知れた蜀の丞相。軍事・政治の天才で三国志の英雄中の英雄。
世に出ていなかった孔明を劉備玄徳が三顧の礼を持って出迎えたのはあまりに有名。

今の歴女ではないが、このような類の話は男は基本好きである。

世の中に知られていなかった諸葛亮孔明を臥せている龍とたとえられたようだ。
他に伏龍(ふくりゅう)、臥龍(がりゅう)とも呼ばれていたようです。

現代では
臥竜・・・世に知られていない英雄、大人物。
というふうに使われています。

そうえいえば、臥梁も臥せている龍に見えないこともない。

現場に行く度に思うのです。

あそこに諸葛亮先生が寝ておられる。。。おお、先生の上に家が!
などと、ひとり心の中で勝手に興奮しているのです。

2010年5月24日月曜日

ホームページ

ホームページを徐々にリニューアル公開中です。
左の「みやま建築設計事務所のHP」からお願いします。

変わった公開方式ですが建築のように徐々に出来上がる過程を見てもらうってことで勘弁してください。

2010年5月23日日曜日

コンパクトデジカメ

最近コンパクトカメラを買い換えました。

狙うカメラの条件は4つ。建築写真を撮るために広角であること。電気が通ってない建築現場で撮る時にフラッシュを使うと一部影ができるので、フラッシュを使わずに高感度で撮れること。安いこと。そしてカッコいいこと。

カメラのことは詳しくないので、フォトグラファーの友人に付き合ってもらっていざ買い物へ。

友人曰く。「まず広角という時点で機種が絞られる。建築物の内部を写そうと思ったら24ミリは必要よ。さらに高感度となるとISOが高いモノを選ばなきゃならないんで。さらに絞られるよ。」確かに・・。
店頭でいろいろカメラをチェックしていくと広角のカメラは確かに少なく、しかもハイエンドコンパクトデジカメしかない。かなり予算オーバー。

広角とISOで機種を絞ると以下の2機種に絞られてきました。

RICO GX200
Panasonic DMC-LX3

どっちもかっこいいし2年前位の発売だけど、どちらも高い!4万7千円以上はする!
いやーどうしよう。

そこで友人が「RICOもPanasonicもどちらも画像処理がうまいし、24ミリ広角を妥協すると後で絶対に後悔するから中古はどう?」というので中古は気が進まないけどプロも御用達という新宿の中古専門店へ。

両方ありますがな・・しかも中古なので予算内で収まりそう。特にLX-3は手が届きそう。
早速店員さんにたのんで両方を実機で比較。どちらもいい感じ。
RICOのGR・GXシリーズはデザインでも定評があってカッコいいのだけど、高いのとアマノジャクの僕はいまいち引かれなくて結局LX-3の方向で購入しようと考えたとき、店員さんが「ちょうどLX-3はあと3000円ほど足せば在庫処分中で新品がありますけど。なくなり次第終了です。」

うおー。先に言ってくれよー!超ラッキー。価格.com価格より安い!
で即購入となりました。結局付近の大型家電専門店より15000円も安く購入出来ました。



ザ・カメラという感じでgoodです。無駄がない。
右下のライカレンズのマークがしびれる。あとで調べたらF値2.0の明るいレンズということでも定評があるカメラでした。

やはりデザインはそのものの機能が備わって価値が高まるものと実感。

建物を設計するにも機能がデザインの価値を高めてくれるとこのカメラから学び、20世紀の近代建築の巨匠ル・コルビジェの「機能がデザインを呼ぶ」といったことを思い出した一日でした。

日本語

電話で職人さんから相談。

「あの出隅がこうで隅木にぶつかって・・・結局おさまらないってことでどうしますか?」「その入隅をふかしてマグサをかわして・・・・伝わってますか?」「?・・わからん。」というような会話。
お互いに日本語の下手さを反省。

建築は昔からバーチャルリアリティーの世界。頭の中で空間を想像していかなければいけません。空間を把握するためにどんな些細なものや形状に名前をつけてお互いのコミュニケーションを図ってきたのだと思います。建築辞典なる分厚い辞書ができるくらい膨大な名称があります。しかし現代では昔に比べればごく限られた言葉しか使われていません。その代わりに図面を含めた絵でコミュニケーションをとることが発展してきたような気がします。

現代では図面やイラストでお互いの意図を伝えていくことが基本となっているのですが、どうしても差し迫って電話で意図を伝えることもごく稀にあります。
お客様への説明も図面やイラストを見ながらも最終的には言葉を合わせて理解してもらうことが重要になります。

現代に使われる言葉でもっともっと上手に伝えられるように勉強です。

以前に職人さんと3000ミリの天井高でこんな会話。(普段建築の世界ではミリ単位)
「いやここの3000の天井を”ニセン”落としてこうしてあーして・・」
「”ニセン”?なんで?2000も落としたら天井高なくなっちゃうじゃん!」
「いや”ニセン”って2センチってことで・・」

いきなりセンチ単位で話すなよ。しかも略称って・・

2010年5月18日火曜日

世田谷の住宅 地下

前回5月11日からの続きです。

地下の床を施工したあとに今度は地下室の外壁となる部分と一階の床部分になる箇所を施工していきます。地下の用途やコストなどから1階の床部分となるところは木で施工することもあるのですが、今回は地下がプライベートスタジオになることもあり防音対策としてコンクリートで床組をしていきます。





写真は鉄筋組の写真です。
前回と同様に鉄筋の材種・径・本数・配筋間隔等をチェックしていきます。特に梁(はり)の端部や各角部分は鉄筋が密集したりして施工が難しい箇所です。あまりに密集するとコンクリートが綺麗に回らなくなるので念入りにチェックします。
また、「かぶり」と呼ばれる型枠から鉄筋までの距離も確認していきます。このかぶりが不足していると、鉄筋コンクリートの耐久性が悪くなりますので念入りにチェックです。

1階から上は木造になるので緊結用のアンカー(ホールダウン金物と呼ばれます)もこの時にセットしていきます。同時にチェックしていきます。



また梁には地下部分の換気用ダクトを通すための貫通穴があります。構造上のウイークポイントにならないように補強筋をチェックします。


前回のレポートを読まれた方から防水層って何ですか?という質問がありました。
地下に施す防水層は文字通り水を防ぐものです。地盤に含まれる水や、雨が降って浸透する雨水がコンクリートの打ち継ぎ・万が一のヒビ割れなどから室内への浸入することを防ぎます。この住宅の周辺は地下水位はそんなに高くないのですが地下というものは実はプールに浮かんでいる船みたいなものです。

建物を設計する際には臆病なくらいに防御策を検討して設計していくのですが、コスト・工期・敷地環境などから適切と思われる工法を選択していくのです。

2010年5月14日金曜日

ちょこっと運動

今日は時間ができたので現在建築中の現場へ事務所から自転車で移動してみました。
片道約10キロの道のり。
普段の運動不足を痛感しました。少しの運動で膝がくがくです。。。

おまけに建築設計に向いてないといわれる方向音痴ときたもんで、予定の道から外れる外れる。
ここは文明の利器に頼るしかなく携帯ナビで確認すること十数回。予定の道を戻ること十回ほど。おそらく片道10キロを12キロくらいは走ったと思います。これも運動の足しになるとポジティブシンキングで何とか現場にたどりつき帰りはちゃんと帰れると根拠なき自信のもとスタートするがこれまた行きと同じ結果に。。。

でも普段は電車の移動が多いのですが普段見ない景色や目の引かれる建物がみれたのがよかったし、東京はこんなに坂が多いのかと実感。

行きかう人々も仕事をしている人々、学校に迎えにいってる様子のお母さんやあやしい人々。
夜になるとみんながそれぞれの住処に戻っていくとおもんだけど上空からこの様子をずっとみていたら不思議で楽しい感じなんだろうな。シムシティのように。

また機会があったら自転車で行こう。
いや待て電車で。。いや車で。。。

2010年5月13日木曜日

ホームページ

みやま建築設計事務所のホームページをリニューアルに向けて作成中です。
なかなか手を取る時間がなかったのですが6月中の公開を予定にしてます。

予定は未定といいますがなんとか頑張ります。

2010年5月11日火曜日

ABC3D

結構前から話題になっている洋書ABC3d
素敵過ぎです。アイデアはさることながらデザインと技術の両立が見事です。
専門書に比べれば非常にお値段もてごろなので、プレゼントでものすごく喜ばれそう。




欲しいのだがちょっと躊躇。自分で所持するより誰かにプレゼントしよ。

世田谷の住宅

現在東京の世田谷で当事務所設計の小さな住宅が建設中です。
さる3月中旬からの施工で、鉄筋コンクリート地下1階・木造地上2階の混構造です。

東京ならではの旗竿地で第1種低層と第1種高度地区と難易度の高い物件です。採光を得るために様々な知恵を入れる必要があります。

この物件では設計上の工夫に難易度が高い上にコストが大変厳しい物件でしたが何かとバランスのとれた住宅に設計になったとおもっています。

施工過程を建築監理の目から少し前からレポートしていきます。

では3月末日の地下工事の様子から・・

地下を掘り終わって外周に断熱材をセットしています。
地下は比較的温度が安定しているので湿気以外は夏は涼しく冬は暖かい快適な場所になります。職人さんに聞けばほぼ一日で張り終わるそうです。
先付け工法と言って土留めを直接コンクリートの型枠にするので、外周の型枠が不要です。外周は土留め、断熱材、防水層、コンクリートの順になります。
東京等の密集地では外周に穴を掘る事ができないので有効な工法です。断熱材の種類と厚さと施工具合をチェックしていきます。

で、防水層を貼付けた写真がこれです。


写真のおじさんは住宅安心保証の検査官です。設計事務所の検査とはまた別の検査の目が光ってます。検査はしすぎて悪い事はないので良い事です。
地下床の配筋と防水層の種類と施工具合をチェックしていきます。配筋は材種・径・配筋間隔等をチェックします。

この状態でも地下に入って見ると既にプライベート空間が出来上がっています。

2010年5月6日木曜日

ブログはじめました。

東京と広島を中心に設計活動をしている、みやま建築設計事務所のブログをはじめました。
日々の仕事や建築過程、日々気になっていることなどを中心に更新予定です。

時々遊びにきて頂けたら幸いです。